英検1級とは
実用英語技能検定(以下、英検)1級は、最も高度な英語力を測る試験であり、実社会や学術分野でも通用するレベルの英語運用能力が求められます。試験は「一次試験」と「二次試験」に分かれており、一次試験では語彙力、長文読解力、リスニング力、そして英作文(要約・論述)の力が問われます。中でも語彙問題は特に難易度が高く、約15,000語の語彙数と幅広い語彙の知識が必要とされます。
二次試験は面接形式で行われ、社会問題などに関するトピックについてスピーチを行い、その後の質疑応答を通して、論理的かつ流暢な英語での表現力が評価されます。
英検1級の総合合格率は全国平均で6~10%と言われており、極めて難関の試験です。
2025年度第1回(6~7月実施)において、アーク学院の塾生である杉浦友紀さん(米子東高等学校2年生)が、見事英検1級に合格するという偉業を成し遂げました。

杉浦さんは、小学1年生のときからアーク学院に通い、英語の学習を地道に積み重ねてきました。中学生で英検準1級に合格し、高校2年生で英検1級に合格するという快挙を達成。その陰には、日々の努力や工夫、そして英語への深い探究心がありました。
今回のインタビューでは、英検1級合格までの道のりや、学習法、試験当日のエピソード、そして今後の目標についてお話を伺いました。
難関試験に挑戦した一人の高校生のリアルな声から、多くの気づきや学びが得られるはずです。

インタビュー①:英検1級を目指した理由
ーーー杉浦友紀さん、今回英検1級合格おめでとうございます。まず、英検1級にチャレンジしようと思った理由を教えてください。
はい、幼小の時から英語を勉強してきた中で、何か目標を持って英語を勉強したいなと思った時に一番良かったものが英検でした。英検ジュニア(※幼児・小学生対象の英検)からスタートしましたが、「1年に1級ずつ」を目標に、実際には小学4年生のときに英検5級、中学1年生のときに準2級、中3のときに準1級…という感じでした。英検準一級まで到達できたときに、せっかくだから最後まで1級までとれるようになりたいなあって思ったので英検1級を目指すことにしました。
また、少なからず兄の影響もあります。兄も同じように英検を順番に取得していました。「兄より早く英検1級を取りたいなあ」という、ちょっとした競争心もありました。英検の中でも一番難しい級ですが、取れたらいいなと思って頑張りました。
ーーー順番に取っていく上で難しかった級もありましたか?
そうですね、一番苦戦したのは実は3級ぐらいなんです。幼い時からかなり感覚で英語をやってきました。だから「英文法」が本当にさっぱりわからなくて。極端な話で言うと、主語の次に動詞が来ることを知ったのは小学校高学年でした。英検3級になると、さすがにそこまではわかってないと難しくなりました。英検3級の勉強をしていたのは小学6年生の時でしたが、ここで結構焦った記憶があります。
ーーー3級と2級は躓きやすい級としてあげられますが、逆に2級は友紀さんには整理できた、内容を受け入れやすかったというような感じですかね。
2級も難しかったんですけど、3級の時にある程度、今の学年よりも難しい範囲の勉強の仕方を知っていたので思っていたよりも苦戦しなかったです。2級の悩みに関しては後でもう少し補足します。
● 英検ジュニアから順に取得し、自然な流れで1級を目指すように
● 兄の影響や競争心もモチベーションに
● 最難関の級に挑戦し、自分の力を試したいと思った
インタビュー②:英検1級の勉強方法について
ーーー英検1級の勉強方法について具体的に教えてください。
英検1級となると、単語そのものだけで覚えるにはなかなか内容が難しい単語が増えています。上野先生から「単語帳の例文と一緒に覚えるといいよ」とアドバイスいただいたので、それを参考にして、「単語を見る」「日本語訳を見る」「例文を見る」という3つの流れを単語帳一冊分しました。それでも6割ぐらいしか覚えられなかったんです。その後はなかなか覚えられない単語を書き出すようにもしました。結構地道な作業ですね。
ーーーやはり、一番身につけるのに大変なのは単語なんですね。
そうですね、単語は想像以上に必要です。英検は難しい文法はそんなに出てこなくて、単語がわかっていれば知らない文法が出てきても乗り切れるところは多いと思います。
ーーー長文の勉強方法について教えて下さい。
長文は割と数が大事だなと思っています。たくさん読めば読むほど定着するようになると体感しています。後は、見直しする時にしっかり「精読」をすることです。分からないところが残らなくていいなと感じました。長文はまず解いた回数、そしてやったままにはしないで、復習することが大事ですね。
英文の単語、文法、文構造などを徹底的に分析し、一文一文の意味を正確に理解しながら読み進める学習方法のこと。
ーーー英作文の勉強の仕方を教えてください。
英作文は週に1回、アーク学院に作文を提出し添削してもらいました。自分が思いついた理由を端的に書きだすようにして、本番で似たような問題が出た時に使えるものを増やしていました。これも上野先生から教わったことです。
ーーートピック作りがまず大事なんですね。これは2次試験の内容にも関わる話かもしれませんが、英検1級の勉強をされている中で英字ニュースを見られていたとお聞きしました。
作文と長文のために英字新聞ニュースを活用していました。インターネットで無料で見られる新聞が2、3社あります。こうすることで普段は知るタイミングがない話を学んでいましたね。
ーーー「知るタイミングがなかった話」とはどんなものがありましたか?
例えば新種の虫の生態系みたいな、そういう複雑な話です。話やテーマをできるだけ取り入れるようにしていました。
準1級の時から岩本先生から英語の雑誌をお借りしたこともあったんですけれど、本格的に英検のために活用したのは1級の勉強を始めてからでしたね。
ーーー要約の勉強ポイントを教えてください。
1級の要約は300語前後の長文から自分の言葉で90~110語に直すという形式です。重要な部分がどこかを見抜いて、抜き出す気持ちでしていました。抜け出すだけだとダメなので、単語を言い換えるようにもしていました。
ーーー論述の勉強のポイントはどういうところですか?
自分の得意領域にできるだけ引き込むことを頑張りました。結構マニアックな内容の設問が多く、表面程度の知識だけだと内容が膨らませられず躓いてしまうことが多かったです。得意なジャンルを2~ 3個自分で決定して、どんな問題でも理由の一つは、得意ジャンルの内容と繋げられるように工夫していました。

ーーー杉浦さんは、英作文の「要約」「論述」のどちらが得意でしたか?
「論述」の方が得意でした。「要約」は問題が固定されていて、その問題をかみ砕いて要約していくのでもうテーマが決まっています。あまり得意じゃない問題でも要約しないといけないので結構問題に左右されやすい要素があるんですけど、「論述」は割と自分が好きなことを書きやすいので得意です。
また2025年から英検1級・準1級・2級に「要約問題」が追加されました。私が準1級・2級を受験した時、要約問題の実施前で、英検1級になって初めてで、いきなりの要約問題挑戦でした。
ーーーなるほど。今の話をお聞きすると、自分の知識が有る方、得意なものに持っていくのが論述での強みになるのですね。リスニングの勉強法もお聞きできたらなと思います。1級のリスニングは内容が豊富ですが、得意なもの、苦手だったものはありますか?
英検1級リスニング問題には最後に「インタビュー」という問題があるのですが、これは結構得意でした。海外のテレビニュースをたまに見てたりしてたんですけど。その通りのニュアンスだったり、リスニングの問題自体が実際の会話を聞いている感じだったので格式張らずに話しているのが比較的、聞き取りやすかったです。
逆に難しかったのは第3部の「実用的なリスニング」です。一見、一番簡単そうに見えるパートなんですけど先に内容を知ることができる分、先入観に囚われやすいんです。一般的にはこうだろうなって思っていたけど、違う答えだった経験が何度かあって苦戦しました。
具体的には「お勧めの電化製品」みたいなテーマで、実生活における指示文やメッセージ、アナウンスを聞く問題です。この問題の特徴は最初に「Situation」といって条件を読むことができることです。「お勧めの電化製品」の付属品について聞き取りしていく中で、あくまで「Situation」での要望に沿って解答するのがポイントで、通常なら選ばなさそうな付属品でも「Situation」に挙げられていたら選ばなければならないし、その逆で「それがあった方が嬉しいかな」という気持ちで選ぶと不正解になるのが難しかったです。
ーーーなるほど。私も実際に対策問題を拝見しましたが、この単元では「上司からの指令」などのテーマもありましたね。聞いていて普通「こうかな」って自分が思っているのと違うことを登場人物が言うことがありますし、最終的に「自分が異なる意見でもSituation通りの意見を選ばなければならない」、そういう苦悩を感じました。
はい、本当によく聞かなければならないですし、もちろん「Situation」の読み間違いがあったら、聞いてる間におかしいなって感じて、正しい選択肢をより選びにくくなります。その点が難しかったです。
一方で大問1と大問2はよくあるリスニングのパターンですし、今までの英検でもよくある形式だったので準1級で特訓した分、そこまで気にならなかったかなっていう記憶があります。
● 語彙は例文とともに覚え、覚えにくい単語は書き出して対策
● 長文は多読+精読、英作文は添削指導とトピック整理で準備
● 英字新聞や雑誌で時事知識を広げ、論述や要約に活用
合格者インタビュー②に続きます。
